能登半島七尾市　「松乃鮨　玉宝」

駅弁・・・
昔は、その土地に行かなければ食べたい駅弁って買えなかったですよね。
それを電車に乗り込んで、時間をみはからって食べる。そんなワクワクした楽しみがありましたが・・・
時代がかわったんですね。
現在は、デパートやスーパーの「○○フェアー」などという大胆な企画により、
ご当地のグルメにスイーツ、様々な食材が簡単に手に入るようになりました。
これを喜ばずして味気ない・・・などとはバチがあたるでしょうか(^^;

能登半島の七尾市にある松乃鮨「玉宝」は、「宝の如く」という創業者の思いが150年間代々受け継がれたお寿司です。
玉宝のルーツをたどれば、約１８０年前の江戸時代にさかのぼりますが、
江戸前握りの創者、堺屋松五郎が、当時では高級品の玉子を海苔のかわりに使い、贅沢に巻き寿司にしたのが始まりです。
その後、当時の江戸幕府に献上され、１１代将軍　徳川家斉に振舞われた幻の玉子巻。
松乃鮨の創業者「善上エ門」が、江戸三鮨と謳われた三軒の鮨屋の1つ「安宅松が鮨」の暖簾と玉宝を受け継ぎ、
能登の地に持ち帰ったのだそうです。

・薄焼き卵・・・繋ぎを一切使わない、熟練した職人の一枚一枚丁寧な焼き上げ

・干瓢・・・直焚きという昔ながらの製法で炊き上げた、懐かしい味わい

・でんぶ・・・白身魚をふんだんに使った甘すぎない味

・しゃり・・・石川県奥能登産を使用、秘伝の酢と調合

・巻く・・・熟練した職人さんが、１本１本心をこめて巻き上げます

こだわりの詰まった「玉宝」は、
見た目はシンプルで特別な飾りや彩もなく、田舎のおばあちゃんが作ってくれたような・・・
ごくごく素朴な巻き寿司なのですが、その深い味わいに食べたらきっと病みつきになりますよ。
私は、少し厚めに巻かれた玉子の部分が大好きです。
折り箱に玉子の太巻きだけが入り、他に付け合わせの楽しみはありませんが、けっこうなボリューム。
「お腹と心を満たす」ものづくり・・・のコンセプト通り食べ応えがあるので、しっかりお腹をすかせてから
いただいてくださいね。

屋台から始まった松乃鮨。
150年の時を経て、今やイケメンの6代目さんになっていますが、
代々受け継がれた伝統と味は、能登の人と共に守りぬいた宝に違いありません。
心を満たせる「食」を後世に残したい！
思い出に残るような「食」を作りたい！
作り続けなけければいけない！
溢れんばかりの想いによって、「玉宝」はこの先どんどん受け継がれて行くことでしょう。
貴重な逸品に出会えて、本当に幸せです。
これが縁というものでしょうね。